新電力が倒産するとどうなる？破産・事業撤退の理由と失敗しない会社の選び方

2016年の電力自由化以降、消費者は電力会社を自由に選択できるようになりました。

しかし、近年では新電力会社の経営破綻が相次いでおり、消費者の間に不安が広がりつつあります。

新電力会社は大手電力会社よりも電気代を抑えやすい点が魅力ですが、倒産リスクがあるのも事実です。

「契約している新電力会社が倒産したらどうしよう」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、新電力会社の倒産が急増している理由と、新電力会社が倒産した場合に生じる電力供給への影響について解説します。

倒産によりどのような影響があるかを知りたい方や、失敗しない電力会社の選び方を知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

新電力会社が倒産・事業撤退した件数一覧

新電力会社が「倒産」「廃業」「事業撤退」した数は、2024年9月時点で734社中123社です。

2020年10月のデータと比較すると、2024年9月までの間に倒産や事業撤退の件数は約4.56倍に増えており、年々増加傾向にあることがわかります。

例として、2020年10月から2024年9月までの新電力会社の登録件数と、事業廃止・解散などの件数を表にまとめました。

年月	登録件数	事業廃止・解散・取消件数
2020年10月	684件	27件
2021年10月	734件	42件
2022年10月	733件	75件
2023年10月	731件	99件
2024年9月	734件	123件

参照元：電力小売全面自由化の進捗状況について – 経済産業省

なお、2024年3月時点の「新規契約停止」の件数は累計69社で、そのうち47社が受付を「再開」しています。

契約中の会社が倒産した場合、電力供給が止まることはないものの、速やかに新たな電力会社への切り替えが必要です。

また、未払い料金や預託金の扱いなど、さまざまな問題に直面する可能性もあるため、消費者は自身の電力契約について、これまで以上に慎重な判断を求められています。

参照元：「新電力会社」事業撤退動向調査（2024年3月） – 帝国データバンク

新電力会社が倒産・事業撤退した理由

近年、新電力会社の倒産や事業撤退が相次いでいます。

考えられる主な理由は次の3つです。

• 市場価格の高騰
• 燃料価格の値上がり
• ビジネスモデルの破綻

ここからは、新電力会社が倒産したり事業撤退したりする理由について解説します。

市場価格の高騰

新電力会社の倒産や事業撤退が増えている理由の一つに、電力市場価格の高騰があります。

市場価格が高騰する要因は、電力需要の増加や燃料価格の値上がり、円安の影響などさまざまです。

新電力会社の多くは、電力市場の安い価格を前提としたビジネスモデルを採用していました。

しかし、市場価格が高騰すると、電力調達コストが大幅に増加するため、資金面に余裕がない新電力会社の経営は圧迫されます。

電力調達コストの負担に耐えきれず経営が行き詰まり、一部の新電力会社は倒産や事業撤退に追い込まれました。

燃料価格の値上がり

日本の電源構成の大半を占めているのは、火力発電です。

火力発電に必要な天然ガスや石炭、原油などは、国際情勢の急変や需要の増加、円安などにより値上がりしています。

日本はエネルギーを海外から輸入する必要があるため、燃料の調達コスト上昇による影響を受けやすい点が特徴です。

とくに、財務基盤の弱い中小の新電力会社は燃料価格の高騰に耐えきれず、経営が行き詰まるケースがあります。

EIA（米国エネルギー省エネルギー情報局）の長期予測では、天然ガスと石炭は2050年まで値上がりが続くとされています。

参照元：天然ガス価格の推移 – 新電力ネット

ビジネスモデルの破綻

新電力会社は、電力自由化により参入した小売電気事業者です。

これまで地域を独占していた大手電力会社とは異なり、多様な料金プランやサービスの提供により顧客を獲得してきました。

新電力会社のビジネスモデルは、卸電力市場の安定した価格を前提としたものが一般的です。

しかし、近年は燃料価格の高騰や需給バランスの崩壊により、電力の市場価格が急激に高騰し続けています。

市場価格の変動リスクを十分に考慮していない新電力会社は、市場価格の高騰で電力調達コストが急増し、経営が圧迫されました。

新電力会社が倒産・新規受付停止した主なケース

ここからは、新電力会社が倒産や新規受付を停止した事例として次の3社を紹介します。

• スマートテック
• ホープエナジー
• ウエスト電力

実際に、どのような理由で倒産や新規受付を停止しているのかを把握して、新電力会社選びに役立てましょう。

スマートテック

スマートテックは、2024年2月に関連会社である水戸電力とともに、民事再生法の適用を申請しました。

民事再生法とは、経営状態が悪化している企業が現状を改善し、業績を回復させるためにおこなう法的整理のことです。

スマートテックは、太陽光発電システム販売のほか、高圧電力も販売していました。

しかし、電力市場価格の高騰による電力調達コストの負担増加や、太陽光発電システムや蓄電池の販売低迷などにより、経営状況が悪化したようです。

民事再生法の適用申請後も事業を継続しており、現在は経営の立て直しとスポンサー探しに注力して再建を目指しています。

ホープエナジー

ホープエナジーは、2022年3月22日に破産申し立ての決議を発表しました。

ホープエナジーは、2020年10月に設立され、2021年12月に親会社のホープから電力小売事業を承継した会社です。

会社分割から約3か月で倒産に至った主な原因として、電力市場価格の高騰による電力調達コストの大幅な増加が挙げられます。

また、電力市場価格高騰の影響で高額なインバランス料金が生じ、赤字を余儀なくされたことも原因の一つです。

インバランス料金とは、自社の電気の需要と供給のバランスが崩れた場合に、代わりに差分を調整した一般送配電事業者に対して、ペナルティとして支払う料金を指します。

合計65億円（税込）ものインバランス料金が不足したことで、赤字がさらに拡大したようです。

ウエスト電力

ウエストホールディングス運営のウエスト電力は、2022年3月に事業廃止を発表しています。

ウエスト電力は、2016年の電力自由化による電力小売市場への参入後、安定した経営を続けていました。

しかし、国際情勢による電力市場価格の高騰が主な原因で、安定的な電力供給が困難な状況となり、電力小売事業の廃止に追い込まれています。

現在はウエストグループとして、再生可能エネルギー事業に注力しているようです。

新電力会社が倒産・事業撤退したらどうなる？

新電力会社が倒産したり事業を撤退したりした際に、消費者が最も気になるのは「電気が止まるのではないか」という疑問ではないでしょうか。

結論からお伝えすると、すぐに電気が止まることはありません。

ここからは、新電力会社の倒産後の影響や動きについて解説します。

すぐに電力供給が止まるわけではない

契約中の新電力会社が倒産した場合、基本的には大手電力会社より一定期間中は電力供給がおこなわれるため、すぐに電気が使えなくなるわけではありません。

しかし、無契約の状況が続くと電力供給が止まる可能性があるため、なるべく早く新たな電力会社を探す必要があります。

なお、高圧や特別高圧などを契約する企業の場合も、一時的なセーフティーネットの「最終保障供給」によって大手電力会社から一時的な電気供給を受けられるため、すぐに電気は止まりません。

ただし、最終保障供給はあくまで一時的な措置であり、次のような注意点があります。

• 通常の料金プランよりも電気料金が割高になる傾向がある
• 最終保障供給の契約期間は原則として1年以内になる

上記のような理由から、最終保障供給に切り替わった場合も、すぐに新たな電力会社を探しましょう。

新しい電力会社との契約が必要になる

新電力会社が倒産や事業を撤退した場合、契約は解除されるため別の電力会社と新たに契約を結ばなくてはなりません。

倒産や事業撤退の発表から数日程度で届く「契約解除の通知書」を受け取ったら、慌てずに次のステップで手続きを進めましょう。

1. 通知内容を確認する
2. 新しい電力会社を探して比較検討する
3. 新しい電力会社へ申し込む

まずは、電力会社から届いたメールや書面をよく読んで、具体的な契約終了日や新たな電力会社との契約に関する情報などを確認しましょう。

確認後は、契約終了日までに複数の電力会社を比較して、次の契約先を探します。

契約したい電力会社が決まったら、公式サイトから申し込み手続きをおこないましょう。

「供給地点特定番号」や「お客様番号」などが記載された検針票を手元に用意しておくと、申し込みがスムーズです。

SNSや比較サイトなどを活用して、十分に情報収集をしたうえで信頼できる電力会社を選んでみてください。

失敗しない！倒産リスクを避けるための新電力会社の選び方

新電力会社選びに失敗しないために、次のようなポイントをチェックしましょう。

• 運営会社は安定しているか
• 発電力や調達力はあるか
• 料金体系がわかりやすいか

それぞれのポイントを詳しく解説します。

運営会社は安定しているか

倒産リスクの低い新電力会社を選ぶためには、運営会社の安定性が最も重要です。

新電力会社の中には、比較的新しい企業や中小規模の事業者も多く、経営基盤が脆弱な会社は燃料価格の高騰や市場価格の急変に対応できず、撤退や倒産に至るケースがあります。

事前に運営会社の公式サイトで資本金や設立年数、グループ会社の有無、過去の業績などをチェックするとある程度の信頼性を判断可能です。

また、大手電力会社の関連企業や、金融・不動産・通信といった他分野の大手企業が母体となっている新電力会社は、資本力や継続性の面で安心感があります。

発電力や調達力はあるか

多くの新電力会社は、基本的には自社専用の発電設備は保有していないことが多いです。

万が一市場価格が高騰した際、自社発電を持たずに全量を電力市場から仕入れている事業者は調達コストが一気に跳ね上がり、経営が圧迫されやすくなります。

結果的にサービス停止や倒産につながるリスクがあるため、自社で発電設備を持っているか、もしくは安定した電力調達ルートを確保しているかを確認しましょう。

自社の発電設備を所有していたり、発電事業者との長期契約によって安定的な電力を確保していたりする新電力会社であれば、価格変動の影響を受けにくく、継続的なサービスの提供が期待できます。

料金体系がわかりやすいか

料金プランがわかりやすいことも重要なポイントです。

基本料金0円や従量料金が安く見えるプランでも、燃料費調整額や電気料金単価の変動によって、実際の請求額が大きく変わるケースがあります。

特に市場連動型の料金プランは、電力市場の価格に応じて電気料金単価が変動するため、冬や夏など需要が高まる時期に料金が跳ね上がるリスクがある点に注意が必要です。

契約前には、公式サイトで料金シミュレーションや過去の請求例が掲載されているか、燃料費調整のルールが明確に記載されているかを確認しましょう。

あなたのニーズに合う新電力は？おすすめ3社を徹底比較

ここまで解説した「選び方」のポイントを踏まえて、多様なニーズに応えることができる、経営基盤の安定したおすすめの新電力サービスを3つ紹介します。

3社とも同じ「株式会社Qvou」が運営しており、創業40年の実績と多角的な事業展開で安定した経営基盤を築いているため、安心して検討できます。

【価格重視】大手から乗り換えるだけでシンプルに安くしたいなら「お得電力」

「お得電力」は、現在契約中の大手電力会社のプラン内容はそのままに、電気代が安くなることを目指したシンプルなサービスです。

従来の料金プランと比べて基本料金や電力量料金が安く設定されており、毎月約3％お得に電気を使用できます。

安く電気を供給できる理由として、運営会社の株式会社Qvouは太陽光発電事業も手がけており、自社での発電能力を持つことで低価格を実現しています。

全国各地の大手電力会社に対応しているため、多くの方が切り替えのメリットを感じられるでしょう。

【主体的に節約】市場価格を活用して電気代を管理したいなら「市場電力」

「市場電力」は、電力市場の価格に料金が連動する「市場連動型プラン」を採用しています。

最安値は0.01円/kWhとなっており、市場価格が安い時間帯に電気を使って積極的に電気代を節約したい、といったゲーム感覚で楽しめる方に向いています。

基本料金は0円のため、請求される電気料金は使った分だけとなるシンプルな仕組みも魅力の一つです。

手続きは最短5分程度で完了し、現在契約中の電力会社への解約手続きや切り替え工事などは不要で、申し込みの手間が一切かかりません。

【付加価値重視】電気＋αのメリットを求めるなら「のむシリカ電力」

「のむシリカ電力」は、電気料金の節約に加えて、年間の電気料金に応じて人気のミネラルウォーター「のむシリカ」が無制限にもらえるユニークなサービスです。

従来の料金プランに比べて料金が安く設定されているため、全国どこで契約しても電気料金の節約につながる可能性があります。

契約時にはのむシリカが1箱プレゼントされるほか、更新時は前年の年間電気料金に応じて5万円ごとにのむシリカを1箱もらえる特典が魅力です。

更新時にもらえるのむシリカのプレゼント箱数は無制限となっているため、使えば使うほどお得になるといえます。

のむシリカ電力への切り替えは、公式サイトからの申し込みもしくはカスタマーセンターへの電話申し込みで、簡単におこなえます。

新電力会社の倒産リスクを回避する方法

新電力会社には倒産や事業撤退などのリスクがある一方で、毎月の電気代を削減しやすいメリットもあります。

新電力会社との契約を継続しつつ、電力供給の停止リスクを抑えるためには、太陽光発電や蓄電池の導入が効果的です。

ここからは、太陽光発電や蓄電池の導入により、新電力会社の倒産リスクを回避できる理由について解説します。

太陽光発電を設置する

新電力会社の倒産リスクを回避する手段の一つとして、太陽光発電システムの設置が挙げられます。

太陽光発電を導入すれば、電力会社に依存しない電力供給体制を構築でき、電力会社が倒産しても影響が少なく済みます。

太陽光発電のメリットは、主に次のとおりです。

• 電気代の削減
• 売電収入
• 停電対策

太陽光で発電した電力を自家消費すれば、電力会社からの電気購入量を減らせるため、電気代の削減につながります。

また、余った電力を電力会社に売ることで収入を得られたり、停電時に一定量の電力を確保できたりするなど、さまざまなメリットがあります。

蓄電池を導入する

新電力会社の倒産リスクに備えて太陽光発電を導入する場合は、蓄電池の併用も検討しましょう。

太陽光発電のみでは電気を貯めておけないため、売電できなければ余った電力は損失します。

一方、太陽光発電システムと蓄電池を連携し、昼間に太陽光発電で発電した電力を蓄電池に貯めておけば、発電が難しい夜間や悪天候時でも自家消費が可能です。

また、停電時に蓄電池の電力を活用すれば、太陽光発電単体よりも電化製品を長時間使用できます。

新電力会社の倒産に関するよくある質問

最後に、新電力会社の倒産に関するよくある質問を4つ紹介します。

新電力会社の倒産や事業撤退について疑問がある方や、電力自由化について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

電力自由化とは？

電力自由化とは、これまで地域の大手電力会社が独占していた電気事業へさまざまな企業が参入できるようになった制度改革のことです。

2016年4月にスタートして以降、すべての消費者が電力会社や料金メニューを自由に選べるようになりました。

電力自由化の主な目的は、電力会社同士の競争促進による電気代の引き下げやサービスの多様化、再生可能エネルギーの普及などです。

新電力会社の中で赤字が出ている企業の割合は？

新電力会社の中で赤字が出ている企業の割合は、2023年3月時点で46.6%です。

前期の51.6%と比較すると改善傾向にあるものの、新電力会社のうち半数近くが赤字に追い込まれている状況に変わりはありません。

参照元：新電力の最新決算 売上高が減少へ、赤字企業がほぼ半数占める – 東京商工リサーチ

大手電力会社も潰れる可能性がある？

大手電力会社は、安定した経営基盤と国の規制による保護、社会的責任などの理由から、新電力会社よりも倒産リスクは低いでしょう。

しかし、経済状況や市場の変化により、大手電力会社でも倒産する可能性はあります。

近年では、燃料価格の高騰や電力市場の変動など、大手電力会社を取り巻く経営環境の厳しさは増している状況です。

大手電力会社は常に経営状況を注視し、リスク管理を徹底しています。

新電力会社に切り替えれば必ず電気代は安くなる？

新電力会社への切り替えで、必ず電気代が安くなるとは限りません。

切り替え後のプラン内容や家庭での電気使用量、ライフスタイルなどによっては、料金が割高になる可能性もあります。

そのため、契約前に自身の電気使用量やライフスタイルに合ったプランかを見極めることが重要です。

多くの電力会社では、公式サイトで料金シミュレーションができるため、契約前にチェックしておきましょう。

まとめ

近年、電気代高騰や燃料価格変動などのさまざまな要因が複雑に絡み合い、新電力会社の倒産や事業撤退が相次いでいます。

倒産しても電力供給はすぐには止まらないものの、電力会社の切り替えに向けて準備を進めなくてはなりません。

一方、新電力会社には倒産や事業撤退などのリスクがある一方で、毎月の電気代を削減しやすいメリットもあります。

新電力会社との契約を継続したいものの、倒産リスクが気になる方には、株式会社Qvouが運営する「市場電力」がおすすめです。

自身のライフスタイルや電気の使用状況にあわせて、市場電力への切り替えを検討してみてください。