衣類乾燥機は、家事の時短や生乾き対策に役立つ便利な家電です。
しかし「電気代が高くなるのではないか」「1回あたりいくらかかるのか」と疑問を持つ方も少なくありません。
結論として、乾燥方式の違いで電気代には2倍以上の差が生じますが、使い方や契約プランの工夫でコストを抑えることは可能です。
具体的な目安としては、ヒートポンプ式なら1回約20円から30円、ヒーター式なら約50円から80円となります。
本記事では、ヒートポンプ式とヒーター式のコスト比較や具体的な計算方法、すぐに実践できる節約術について解説します。
毎日の洗濯を快適かつ経済的におこないたい方は、ぜひ参考にしてください。
衣類乾燥機の電気代は1回いくら?1か月の目安と計算方法

衣類乾燥機の電気代は、乾燥方式や使用頻度によって大きく異なります。
まずは、一般的な目安となる金額と、正確な計算方法について理解しておきましょう。
ここでは、次のポイントについて具体的に解説します。
- ヒートポンプ式とヒーター式の1回あたりの電気代比較
- 毎日乾燥機を使用した場合の1か月の電気代シミュレーション
- 消費電力から電気代を算出する計算式
ヒートポンプ式とヒーター式の1回あたりの電気代比較
衣類乾燥機の電気代は、採用されている乾燥方式によって2倍以上の差が出ることがあります。
それぞれの方式における1回あたりの電気代目安は次のとおりです。
乾燥方式別の電気代目安(1回あたり)
| 乾燥方式 | 消費電力(約) | 電気代(約) |
|---|---|---|
| ヒートポンプ式 | 640Wh〜970W | 20円~30円 |
| ヒーター式 | 1613Wh〜2581Wh | 50円~80円 |
※実際の電気代は機種や使用環境により異なります
ヒートポンプ式が安い理由は、少ない電力で効率よく熱を作り出すことで、消費電力を大幅に抑えられるためです。
一方、ヒーター式はドライヤーのように電気を使って直接熱を発生させるため、多くの電力を消費します。
毎日使う場合、この1回あたりの差が積み重なり、年間では数万円の違いになることも珍しくありません。
毎日乾燥機を使用した場合の1か月の電気代シミュレーション
毎日衣類乾燥機を使用した場合、1か月の電気代がどのくらいになるのかを試算します。
1か月あたりの電気代シミュレーション(毎日使用)
| 乾燥方式 | 月額目安(30回使用) |
|---|---|
| ヒートポンプ式 | 約600円~900円 |
| ヒーター式 | 約1,500円~2,400円 |
ヒートポンプ式であれば、毎日使用しても月額1,000円以下に収まる可能性があります。
一方でヒーター式の場合は、月額2,000円を超えることもあり、家計への負担は大きくなります。
週末のみ(月8回程度)の使用であれば、ヒーター式でも数百円程度に収まりますが、4人家族などで毎日洗濯物が出る家庭では、乾燥方式の選び方が電気代に直結するといえるでしょう。
消費電力から電気代を算出する計算式
自宅の乾燥機を使った場合の正確な電気代を知りたい場合は、消費電力と使用時間から計算できます。
基本となる計算式は次のとおりです。
電気代の計算式
消費電力(kW)×使用時間(h)×電気料金単価(円/kWh)=電気代
たとえば、消費電力が1,000W(1kW)のヒーター式乾燥機を2時間使用し、電気料金単価が31円の場合、1×2×31=62円となります。
また、「省エネモード」や「念入りモード」など、選択する運転コースによっても消費電力は変動します。
正確な金額を把握するためには、契約している電力会社の検針票やマイページで、現在の1kWhあたりの単価を確認しておくとよいでしょう。
【タイプ別比較】ドラム式・縦型・独立型のどれが最も安いか

衣類乾燥機には、ドラム式洗濯乾燥機、縦型洗濯乾燥機、そして独立型の衣類乾燥機といった種類があります。
ここからは、どのタイプが経済的に有利なのか詳しく解説します。
ドラム式洗濯乾燥機がランニングコストで有利な理由
ランニングコストを最優先に考えるなら、ヒートポンプ式を採用しているドラム式洗濯乾燥機が最も適しています。
現在販売されているドラム式洗濯乾燥機の上位モデルの多くは、省エネ性能に優れたヒートポンプ式を採用しています。
少ない電力で乾燥できるだけでなく、比較的低温で乾かすため衣類へのダメージが少ない点もメリットです。
本体価格は縦型やヒーター式に比べて高額になる傾向がありますが、毎日使用する場合は電気代の節約効果で差額を回収できる可能性があります。
たとえば、古いヒーター式乾燥機から最新のヒートポンプ式ドラム洗に買い替えた場合、5年間などの長期スパンで見るとトータルコストが安くなるケースも少なくありません。
縦型洗濯乾燥機や独立型乾燥機の注意点
縦型洗濯乾燥機や独立型の電気衣類乾燥機を使用する場合は、電気代が高くなりやすい点に注意が必要です。
これらのタイプの多くは、構造上の理由からヒーター式乾燥を採用しているため、ヒートポンプ式に比べて電気代が高くなりがちです。
また、縦型洗濯乾燥機の中には、乾燥時の冷却に水を使用する「水冷除湿タイプ」があり、この場合は電気代だけでなく水道代も余分にかかることになります。
一方で、ガスを熱源とする独立型ガス衣類乾燥機(乾太くんなど)は、電気代ではなくガス代がかかることが特徴です。
都市ガスを使用する地域であれば、電気式ヒーターよりもランニングコストを抑えつつ、短時間で乾燥できる場合があります。
導入には設置工事が必要ですが、トータルコストと乾燥スピードのバランスがよい選択肢といえるでしょう。
浴室乾燥機やコインランドリーとどっちがお得?コスト比較

衣類乾燥機以外にも、浴室乾燥機やコインランドリーを利用して洗濯物を乾かす方法があります。
しかし、コスト面のみで比較すると、専用の衣類乾燥機よりも割高になるケースが一般的です。
それぞれのコスト構造と、賢い使い分けについて解説します。
浴室乾燥機が高いといわれる理由と実際のコスト
浴室乾燥機は、衣類乾燥機と比較して電気代が高くなりやすい傾向があります。
衣類乾燥機がドラム内の狭い空間を集中的に暖めるのに対し、浴室乾燥機は浴室という広い空間全体を暖めながら衣類を乾かす必要があるため、多くのパワーを必要とします。
機種や環境にもよりますが、3時間から4時間程度稼働させると、1回あたり100円以上の電気代がかかることも珍しくありません。
毎日使用すると月額3,000円を超える可能性もあるため、梅雨時期や急ぎの洗濯物がある場合などのスポット利用に留めるのが経済的です。
コインランドリーと自宅乾燥機の損益分岐点
コインランドリーの乾燥機はパワーが強く短時間で乾きますが、日常使いするにはコストが割高です。
一般的なコインランドリーの乾燥機は、8分から10分で100円程度の料金設定が主流です。
家族分の洗濯物を完全に乾かそうとすると、1回あたり300円から500円程度かかります。
毎日利用すれば月額1万円を超えるため、コスト面では自宅用の衣類乾燥機に軍配が上がります。
ただし、布団などの大物を洗う場合や、週末にまとめて大量の洗濯物を乾かしたい場合には便利です。
「週に何回利用するか」を基準に考え、週2回以上利用するようであれば、自宅への乾燥機導入を考えたほうがトータルコストを抑えられるでしょう。
今日からできる!衣類乾燥機の電気代を節約する5つの方法

乾燥機の電気代を抑えるために、特別な設備投資をしなくても実践できる方法があります。
フィルター掃除や洗濯物の入れ方など、日々の小さな工夫で乾燥効率は大きく変わります。
- 使用ごとのフィルター掃除
- 洗濯物を詰め込みすぎない
- 脱水時間を延長する
- 部屋干しを併用する(仕上げ乾燥)
- 乾きにくい衣類と分ける
ここからは、5つの節約テクニックについて詳しく解説します。
フィルター掃除と詰め込みすぎ防止で効率アップ
最も基本的かつ効果的な節約方法は、「使用ごとのフィルター掃除」です。
乾燥フィルターにホコリが詰まっていると、空気の通り道が塞がれて乾燥効率が著しく低下し、結果的に無駄な電気代がかかります。
また、「洗濯物を詰め込みすぎないこと」も重要です。
乾燥機内に洗濯物を詰め込みすぎると、温風が全体に行き渡らず乾きムラが発生します。
洗濯物の量は定格容量の7割から8割程度に抑え、空気が循環するスペースを十分に確保することで、短時間で効率よく乾かせます。
終了時に生乾きを感じる場合は、詰め込みすぎのサインと考えてよいでしょう。
脱水時間の延長と部屋干し併用テクニック
脱水時間を通常より長く設定することも、乾燥時間の短縮につながります。
乾燥機に入れる前の洗濯物の水分量を少しでも減らしておけば、乾燥にかかるエネルギーを節約可能です。
脱水時間を1分から2分延長するのみで、乾燥時間を大幅に短縮できる可能性があります。
また、完全に乾くまで乾燥機を使わず、途中まで自然乾燥(部屋干し)をおこない、仕上げの30分程度のみ乾燥機を使う「仕上げ乾燥」の併用もおすすめです。
これなら電気代を大幅にカットしつつ、乾燥機特有のフワッとした仕上がりを実現できます。
厚手のものと薄手のものを分け、乾きにくいもののみ乾燥機にかけるといった仕分けも効果的です。
【根本解決】買い替え不要で電気代を下げるなら電力会社の見直しがおすすめ

乾燥機の使い方を工夫しても電気代が気になる場合は、電気料金そのものを見直すのが根本的な解決策となります。
高額な省エネ機種への買い替えを考える前に、まずは初期費用ゼロではじめられる電力会社のプラン変更を検討してみるとよいでしょう。
高額な乾燥機への買い替えよりもプラン変更が効果的な理由
電気代を安くするために、省エネ性能の高い最新の乾燥機へ買い替えるという選択肢があります。
しかし、これには十数万円から、場合によっては30万円近い初期投資が必要です。
一方、電力会社のプラン変更であれば、初期費用はかかりません。
現在使用している乾燥機をそのまま使い続けながら、電気の単価そのものを下げることで、翌月の請求からすぐに節約効果を得られます。
とくに、現在契約しているプランが従量電灯などの一般的なプランであれば、新電力への切り替えで基本料金や電力量料金を下げられる可能性があります。
故障していない乾燥機を無理に買い替えるよりも、経済的合理性が高い選択といえるでしょう。
時間帯をずらして安くする「ピークシフト」の発想
衣類乾燥機は、使用する時間帯をユーザーが自由に選べる家電です。
この特性を活かし、電気代が安い時間帯を狙って稼働させる「ピークシフト」を取り入れることで、大幅なコストダウンが可能になります。
かつては「深夜電力が安い」というのが定説でしたが、近年は太陽光発電の普及により、晴れた日の「昼間」の電気代が安くなる傾向が出てきています。
市場連動型のプランなどを利用すれば、太陽光発電による電力が余っている昼間の時間帯に、非常に安い単価で電気を使うことも可能です。
タイマー機能を活用して、最も電気代が安い時間に乾燥機が回るようにセットすることで、生活リズムを変えずに賢く節約できます。
乾燥機ユーザーに最適なおすすめの新電力サービス

乾燥機を頻繁に使う家庭にとって、電力会社の選び方は家計への影響大です。
ここでは、使い方に合わせて選べる2つの新電力サービスを紹介します。
- 市場電力
- お得電力
時間帯を工夫して徹底的に安くしたい方には「市場電力」、難しいことを考えずに確実に安くしたい方には「お得電力」が適しています。
なお、運営元の株式会社Qvouは2025年時点で創業40年の実績を持つ企業であり、安定したサービス提供が期待できます。
昼間の乾燥機利用で電気代を大幅削減できる「市場電力」
「市場電力」は、日本卸電力取引所(JEPX)の価格に連動して電気料金が決まるプランです。
このプランの最大の特徴は、市場価格が安い時間帯に電気を使うことで、電気代を大幅に抑えられる点にあります。
とくに晴れた日の昼間など、太陽光発電の供給量が増えるタイミングは、単価が極めて安くなる(場合によっては0.01円/kWh+送電コスト等)ことがあります。
衣類乾燥機のようにタイマーで稼働時間を調整できる家電とは非常に相性がよく、昼間に洗濯をおこなう在宅ワーカーや専業主婦(夫)の方、あるいは休日の昼間にまとめて洗濯をする方に最適です。
ゲーム感覚で安い時間を狙って節電を楽しみたい方にも向いています。
基本料金も電力量料金も一律で安い「お得電力」
「お得電力」は、基本料金と電力量料金の単価が、地域の大手電力会社よりも一律で安く設定されているプランです。
市場価格の変動を気にする必要がなく、昼夜問わずいつでも大手電力会社より約3%安い料金で電気を利用できます。
乾燥機を夜間に使いたい方や、細かい時間帯調整をストレスに感じる方にはお得電力が最適です。
電気を使えば使うほど大手との差額が大きくなる仕組みのため、乾燥機を毎日使う家庭や、家族の人数が多く電気使用量が多い家庭ほど、切り替えによる恩恵を受けやすくなります。
エリアによって削減額は異なりますが、たとえば東京エリアの4人から6人世帯であれば、年間で約8,553円の節約になるという試算データもあります。
衣類乾燥機の電気代に関するよくある質問

最後に、衣類乾燥機の電気代に関してよく寄せられる疑問に回答します。
メーカーによる違いや、古い機種の扱いなど、気になるポイントを解消しておきましょう。
メーカーによる電気代の差はありますか
メーカーによる電気代の差よりも、乾燥方式(ヒートポンプ式かヒーター式か)による差の方が圧倒的に大きくなります。
パナソニック、日立、アイリスオーヤマなど、主要メーカーの製品であれば、同じ乾燥方式を採用している限り、電気代に極端な差が出ることはありません。
差があったとしても誤差の範囲内といえます。
電気代を比較する際は、メーカー名のみでなく、カタログに記載されている「消費電力量(Wh)」や採用されている「乾燥方式」を必ず確認することが重要です。
古い乾燥機を使い続けるのは損ですか
10年以上前の古い乾燥機、とくにヒーター式のモデルを使用している場合、電気代の面では損をしている可能性が高いです。
最新のヒートポンプ式モデルと比較すると、1回あたりの電気代に2倍以上の開きがあることも珍しくありません。
また、古い機種は乾燥効率が落ちていたり、衣類へのダメージが大きかったりするリスクもあります。
ただし、すぐに買い替える資金がない場合は、無理をする必要はありません。
まずは前述した「電力プランの見直し」をおこない、単価を下げることでランニングコストを抑えるのが最善策です。
まとめ

本記事では、衣類乾燥機の電気代について、タイプ別のコスト比較や具体的な節約方法を解説しました。
主な要点は次のとおりです。
- ヒートポンプ式はヒーター式に比べて電気代が安い
- 日々の使い方の工夫で節電効果が期待できる
- 電力プランの見直しや、時間帯を意識した使い方も効果的
電気代の削減については、当サイトの情報を参考に最適な判断をしてください。
自身の状況に合うと感じた方は、ぜひ公式サイトで詳細を確認してみてください。
<参考>
お得電力






