エアコンの自動運転は電気代が高い？弱運転との比較でわかる節約術と最適な設定温度を解説

夏の猛暑や冬の厳しい寒さにおいて、エアコンは快適な生活に欠かせない家電です。

しかし、近年の電気代高騰のため、使用をためらう方も少なくありません。

とくに「自動運転」と「弱運転」のどちらが本当に電気代の節約につながるのか、多くの方が疑問に感じています。

結論として、多くの場合、エアコンの性能を最も効率的に引き出し、電気代を抑えられるのは「自動運転」です。

本記事では、自動運転が節約になる具体的な仕組みから、勘違いされがちな弱運転が非効率になる理由、そして快適さを損なわない最適な設定温度までを詳しく解説します。

エアコンの電気代に関する長年の疑問を解消し、自信を持って節約に取り組みたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

【結論】エアコンの電気代節約は自動運転が正解

エアコンの電気代を節約したいと考えたとき、「自動運転」と「弱運転」のどちらが本当にお得なのか、迷う方は少なくないでしょう。

風が弱い方が電気を使わないように感じますが、実はそうとは限りません。

結論からお伝えすると、多くの場合、エアコンの電気代を最も効率的に節約できるのは「自動運転」です。

ここでは、なぜ自動運転が正解といえるのか、その理由と具体的な仕組みについて詳しく解説します。

自動運転と弱運転の電気代はどちらが安い？

年間を通した電気代で比較した場合、多くの方にとって「自動運転」の方が安くなる可能性が高いでしょう。

エアコンは部屋にいる時間が長くなるほど、自動運転による節約効果が大きくなる傾向にあります。

もちろん、ほんの数十分といった短時間の使用であれば、弱運転の方が消費電力を抑えられるケースが大半です。

しかし、総合的な節約を考えた場合、「ダイキン」をはじめとする多くのエアコンメーカーも、基本的には自動運転をおすすめしています。

これは、自動運転がエアコンの性能を最も効率的に引き出し、無駄な電力消費を抑えるように設計されているためです。

まず「自動運転」を基本にする、という考え方が節約への第一歩といえるでしょう。

自動運転が効率的に電気代を抑えられる仕組み

自動運転が電気代の節約につながる理由は、その効率的な仕組みにあります。

自動運転を選ぶと、エアコンはまずパワフルな運転で一気に部屋を設定温度まで快適な状態にします。

そして、設定温度に到達したあとは、自動で送風やごく弱い運転に切り替わり、その室温を賢く維持するのです。

この「最初に一気に、あとは賢く維持」というメリハリのある運転こそが、最も電力消費を抑えられる効率的な方法となります。

また、最近のエアコンは高機能なセンサーを搭載しており、部屋の温度や人の活動量を検知して、常に最適な風量や風向きに自動で調整します。

自身で細かく設定するよりも、エアコンに任せる方が結果的に節約になるでしょう。

知らないと損？弱運転が非効率になる理由

一見すると節約になりそうな「弱運転」ですが、実はかえって電気代を高くする可能性があります。

弱運転は常に弱い力で稼働するため、部屋全体が快適な温度になるまでに非常に長い時間がかかることが特徴です。

エアコンの心臓部であり、最も電力を消費する「コンプレッサー」は、設定温度に到達するまで休むことなく動き続けます。

そのため、弱運転で長時間稼働させることは、結果的にコンプレッサーを長く動かし続けることになり、消費電力が大きくなる原因になります。

とくに外気との温度差が大きい真夏や真冬は、弱運転ではなかなか快適にならず、無駄に電気を消費し続ける状況に陥りやすいため注意が必要です。

【快適さと節約を両立】自動運転の効果的な使い方

ここまで、エアコンは「自動運転」が節約に最も効果的であることを解説しました。

しかし、自動運転による節約効果を最大限に引き出すためには、いくつかのポイントがあります。

ここでは、自動運転をさらに賢く活用し、快適な室温を保ちながら電気代を抑えるための具体的な使い方を紹介します。

季節ごとの設定温度の目安から、最適な風向き、意外と見落としがちなポイントまで、ぜひ今日から実践してみてください。

【夏と冬】季節ごとの最適な設定温度の目安

自動運転の効果を最大限に引き出すためには、適切な温度設定が重要です。

環境省の省エネ性能カタログでは、冷房時の室温は28℃、暖房時の室温は20℃が推奨されています。

「28℃だと暑いのでは」と感じる方も多いですが、大切なのは設定温度ではなく室温です。

自動運転に設定したうえでこの温度を目安にすれば、エアコンが効率よく運転し、無理なく節電できます。

また、夏場は湿度が高いと体感温度が上がるため、温度を下げすぎる前に「除湿（ドライ）」機能を活用するのもよい方法です。

自動運転と適切な温度設定を組み合わせ、快適な環境を維持しましょう。

参照：経済産業省 資源エネルギー庁│省エネ性能カタログ

最適な風向きで効率アップ

自動運転とあわせて意識したいポイントが「風向き」です。

暖かい空気は上に、冷たい空気は下に溜まりやすい、という性質があります。

この空気の性質を理解して風向きを調整すると、部屋の温度ムラがなくなり、エアコンの効率をさらに高められます。

具体的な設定としては、冷房時は風向きを「水平」に、暖房時は「下向き」がおすすめです。

冷房時は上から冷たい空気を降らせるように、暖房時は暖かい空気を足元から部屋全体に行き渡らせるように空気を循環させます。

風向きの調整により体感温度も向上し、設定温度を過剰に調整することなく快適に過ごせるため、節約につながります。

サーキュレーターや扇風機を併用して効率アップ

自動運転とあわせて実践したいのが、サーキュレーターや扇風機の併用です。

サーキュレーターや扇風機を併用し、部屋の空気を強制的に循環させることで、部屋全体の温度をより早く均一に保てます。

これにより、エアコンが「部屋がまだ設定温度になっていない」と勘違いして過剰に運転するのを防ぎ、効率よく部屋を快適な状態にできます。

結果として、設定温度を必要以上に変えることなく、さらなる電気代の節約につながるのです。

冷房時はエアコンを背にするように床に置き上向きに、暖房時は部屋の対角線上に置いてエアコンに向けて風を送ると、より効果的です。

2週間に1度のフィルター掃除で消費電力を抑える

エアコンの節約を考えるうえで、フィルターの掃除は欠かせないポイントです。

フィルターにホコリが溜まると、エアコンが空気を吸い込む力が弱まり、部屋を冷やしたり暖めたりするためにより多くのパワーが必要になります。

これは、無駄な消費電力がかかる大きな原因となるのです。

環境省によると、フィルターを月に1～2回掃除するのみで、年間約860円の節約になるとされています。

掃除方法は、フィルターのホコリを掃除機で吸い取るか、汚れがひどい場合は水洗いするのみです。

この簡単なメンテナンスを定期的におこなうことが、日々の電気代を確実に抑えるための、非常に効果的な節約術といえるでしょう。

参照：経済産業省 資源エネルギー庁│省エネ性能カタログ

室外機の周りは大丈夫？見落としがちな節約ポイント

エアコンの効率には、室内の設定のみでなく、屋外に設置された「室外機」の環境も大きく影響します。

室外機は、室内の熱を外に放出する、あるいは外の熱を取り込むという重要な役割を担う機器です。

そのため、室外機の働きを妨げないようにすることが、消費電力を抑えるうえで大切になります。

具体的なチェックポイントは、室外機の吹き出し口の前に物を置いて塞いでいないか、雑草などが絡まっていないか、という点です。

また、夏場に直射日光が当たり続けると、熱交換の効率が低下します。

すだれなどで日陰を作るのみでも、運転効率が向上し、無駄な電気代を削減する効果が期待できます。

定期的に室外機の周りも確認してみましょう。

【+αの節約術】電力会社のプラン見直しも検討しよう

自動運転の活用や日々のメンテナンスは電気代の節約に非常に有効ですが、さらに一歩進んで根本から電気代を見直す方法として、「電力会社のプランを切り替える」という選択肢もあります。

日々の工夫とあわせて契約そのものを見直すことで、より大きな節約効果が期待できるでしょう。

電力会社の見直しが電気代節約につながる理由

2016年の電力自由化によって、私たちはライフスタイルに合わせて自由に電力会社を選べるようになりました。

それまでは地域ごとに決められた大手電力会社と契約するのが一般的でしたが、今では多くの新電力会社が参入し、それぞれ特色のあるお得な料金プランを提供しています。

たとえば、日中に在宅していることが多い家庭や、夜間に電気を多く使う家庭など、生活のパターンはさまざまです。

現在契約しているプランが自身のライフスタイルに合っていない場合、新電力のプランに乗り換えるのみで、電気代の単価、すなわち「kWh」あたりの料金を安くできる可能性があります。

エアコンの使い方を工夫する節約術と、お得な電力プランへの切り替えを組み合わせ、賢く電気代を削減しましょう。

自身に合ったプランが見つかるおすすめ電力会社3選

電力会社を見直したくても、「数多くある中からどこを選べばよいかわからない」と感じる方もいるでしょう。

そこでここでは、多様なニーズに応える3つの新電力サービスを紹介します。

料金体系のわかりやすさや、ユニークな特典など、それぞれの魅力はさまざまです。

自身のライフスタイルに合ったプランを見つけるための参考にしてください。

【簡単切替】シンプルに安くしたい方向け「お得電力」

「複雑な料金プランはよくわからないけれど、とにかく電気代を安くしたい」と考える方には「お得電力」がおすすめです。

お得電力は、現在契約している大手電力会社の料金プランとほぼ同じ内容のまま、基本料金と電力量料金が安くなるという非常にシンプルな仕組みが魅力です。

現在の契約内容から切り替えるのみで、多くの場合、電気料金の削減が期待できます。

特別な手続きや工事は不要で、Webサイトから簡単に申し込みが完了する手軽さも嬉しいポイントといえるでしょう。

全国（離島を除く）で利用できるため、多くの方が切り替えのメリットを受けられます。

わかりやすさを重視して、確実に電気代を節約したい方に適したサービスです。

【時間で節約】市場価格を活用したい方向け「市場電力」

「電気を使う時間を工夫して、積極的に電気代を節約したい」と考える方には、「市場電力」が向いています。

市場電力は、電気の取引価格である市場価格に料金単価が連動する「市場連動型プラン」を採用していることが特徴です。

一般的に、電力の市場価格は、太陽光発電が活発になる昼間の時間帯に安くなる傾向があります。

そのため、在宅ワークなどで日中の電気使用量が多い家庭や、タイマー機能などを活用して電気の使用時間を調整できる方にとっては、大幅な電気代削減のチャンスといえるでしょう。

ただし、市場電力はお得電力、のむシリカ電力同様に、解約金ではなく、事務手数料がかかります。

【特典で選ぶ】健康志向の方向け「のむシリカ電力」

電気代の節約のみでなく、「暮らしに嬉しいプラスアルファの特典が欲しい」という方に紹介したいサービスが「のむシリカ電力」です。

のむシリカ電力は、毎月の電気料金に応じて、美容や健康分野で注目されている霧島天然水「のむシリカ」が受け取れる、非常にユニークなプランを提供しています。

特典は、初回契約時に「のむシリカ」1箱（500ml×24本）がプレゼントされるほか、契約更新時にも前年度の年間電気料金に応じてプレゼントがもらえます。

電気は毎日使うものだからこそ、その支払いが健康への投資にもつながる、新しい価値を提供するサービスといえるでしょう。

運営会社の「株式会社Qvou」は創業40年という実績もあり、安心して契約できる点も魅力です。

エアコンの電気代や自動運転に関するQ&A

最後に、エアコンの電気代や自動運転に関して、多くの方が抱きがちな疑問についてQ&A形式で回答します。

より安心して、そして効果的にエアコンを活用するための参考にしてください。

つけっぱなしとこまめに消すのはどっちがお得？

つけっぱなしとこまめ消し、どちらがお得になるかはシーンにより異なります。

	つけっぱなし	こまめ消し
おすすめ	短い外出時	長い外出時
メリット	再起動時の消費電力を抑えられる	不在時の無駄をなくせる
デメリット	長時間だと割高になる	再起動に電力がかかる

30分程度の短い外出であれば、「つけっぱなし」にしておく方が電気代を安く抑えられる傾向にあります。

エアコンは「起動時」に最も多くの電力を消費するため、短い時間でオンオフを何度も繰り返すと、その都度大きな電力を消費し、かえって電気代が高くなる可能性があるのです。

一方で、1時間を超えるような長時間の外出の場合は、一度電源をオフにする方が節約につながります。

自身のライフスタイルに合わせて、この「30分」という時間を一つの目安として、賢く使い分けることをおすすめします。

自動運転でも快適でない場合、設定温度は上げるべき？下げるべき？

自動運転でも快適でない場合は、まず体感に合わせて設定温度を1℃ずつ調整するのが基本です。

暑いと感じれば1℃下げ、寒いと感じれば1℃上げる、というように微調整してみてください。

とくに夏場は、湿度が高いと実際の温度よりも暑く感じやすいことが特徴です。

その場合は、温度を大きく下げる前に「除湿（ドライ）」機能を併用して湿度を下げることで、快適さが向上する場合があります。

「温度」と「湿度」の両方をコントロールする意識を持つことが、快適さと節約を両立させるコツです。

暖房の自動運転が寒く感じるのはなぜですか？

冬場に暖房の自動運転を使用していると、急に温風が止まることで、寒く感じるケースがあります。

これは、室外機についた霜を溶かすための「霜取り運転」が作動している可能性が高いです。

エアコンは暖房時、外の空気から熱を取り込んで部屋を暖めますが、その際に室外機が冷えて霜がつくことがあります。

この霜を放置すると暖房効率が著しく低下するため、一時的に暖房を止めて霜を溶かすのです。

これは故障ではなく、効率的な運転の維持に必要な機能であるため、運転が再開するまで少し待ちましょう。

引っ越し先で電力会社を切り替えることはできますか？

引っ越し先で、電力会社を切り替えることは可能です。

これまで大手電力会社を契約していた方も、引っ越しを機に新電力へ切り替えることで、電気代がお得になる可能性があります。

手続きをスムーズに進めるためには、入居日の2週間から1か前までを目安に、新しい電力会社へ申し込むとよいでしょう。

今回紹介した「お得電力」「市場電力」「のむシリカ電力」の3社も、全国の広いエリア（離島などを除く）に対応しています。

新生活のスタートに合わせて、電力プランの見直しを検討してみてください。

電力会社が倒産したら電気は止まりますか？

万が一、契約している新電力会社が倒産や事業撤退をした場合でも、すぐに電気が止まることはありません。

消費者を守るためのセーフティーネットとして、「最終保障供給」という仕組みが国によって定められています。

最終保障供給は、契約先を失った家庭に対し、地域の大手電力会社（東京電力や関西電力など）が一時的に電気の供給を引き継ぐことを目的とした制度です。

電気が止まることはありませんが、最終保障供給の料金は割高に設定されているため、速やかに新しい電力会社を探して契約することが推奨されます。

消費者にはセーフティーネットがあるため、安心して新電力への切り替えを検討できます。

参考：最終保障供給契約について｜託送・お手続き・サービス｜東京電力パワーグリッド株式会社

まとめ

本記事では、エアコンの電気代を節約するための最適な運転モードとして「自動運転」をおすすめし、その仕組みや弱運転との違い、さらに効果を高める使い方について解説しました。

最も重要な結論は、エアコンは最初に一気に部屋を快適な温度にし、その後は少ない電力で室温を維持する「自動運転」が、最も効率的で節約につながるということです。

感覚的にエコに思える「弱運転」は、かえって電力を無駄に消費する可能性があります。

この知識をもとに、まずは自身のエアコンを「自動運転」に設定してみてください。

加えて、適切な設定温度の維持やフィルターの定期的な掃除、さらには電力会社の見直しといったアクションも実践し、快適な生活と電気代の節約を両立させましょう。

＜参考＞
お得電力
市場電力
のむシリカ電力